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トニックウォーターにブラックライトを照射してみよう!

研究関連
03 /28 2017
そろそろ新生活の始まりということで,まずは最寄のBARを探索していこうと考えています。
ところで,BARなので最初に飲むカクテルは何にしていますか?
学生時代のボスは,「ジントニックを飲めば店のレベルが分かる」とおっしゃっていました。

ジントニックは,スピリッツの一種であるジンをベースに,トニックウォーターとライム果汁を加えた定番カクテルになります。
私も学生時代によく自分で作って飲んでいました。
ライムをいれずに,ジンとトニックウォーターを適当に混ぜただけだがな!


さて,このトニックウォーターなんですが,
我々の界隈(天然物有機化学)では,ブラックライトによって光ることが有名です。

酒の席で化学の話
輝けブラックライト
お手軽ジントニック大作戦、およびトニックウォーターのキニーネ問題について

海外のトニックウォーターにはアルカロイドである「キニーネ」が含まれているため,
それが原因でブラックライトにより光るといわれています。
キニーネといえば皆大好きロバート・B・ウッドワードにより全合成されたことでも有名です。

キニーネの物語

ただ,日本においてどうもキニーネを含んだトニックウォーターは扱えないらしく,
キニーネは入っていないらしいです。
そのため,日本で流通しているトニックウォーターはブラックライトで光らない…
かといえばそうでもなく普通に光ったりするらしいです。

原因としてはキニーネの代わりに,キニーネを含む「キナ」と呼ばれる植物の抽出物が入っているためではないか,
といわれているらしいですが,Fever Tree社のトニックウォーターを紹介しているサイトによれば,
国産で消費されている99%のトニックウォーターにはキナ抽出物が入っていないらしいです。

ど,どういうことだってばよ

なんにせよ,トニックウォーターはブラックライトで光ることが分かったので,
修士2年の最後の冬,いろんな種類のトニックウォーターを光らせてみよう!
という非常にアホなことをやっていました。
修論発表準備中に

それでは,今回試験したトニックウォターをご紹介しましょう。




トニックウォーター一覧
左から「ドンキ・ホーテ」,「カナダドライ」,「サントリー」,「シュウェップス」,そして「Feve Tree」!

選択した理由はただ単に近くのお店で買うことが出来たからです。
ただ,Fever Treeだけはある意味ポジティブコントロールとして必要かな,ということで
そこら中を探し回りましたとも,ええ,修論準備中に

ちなみに,それぞれの味のレビュー


・ドンキホーテ
一番味にクセがない。ぶっちゃけまず…

・カナダドライ
ドンキホーテよりややトニックウォーター感あり,今回飲んだ中では一番甘い

・サントリー
キレが一番ある気がする。素で飲むなら一番好みでした。
初めてしったけど,サントリーって「sunTORY」って書くんですね。
「sun」が小文字で「TORY」が大文字?

・シュウェップス
薬品チックな味がする。ただ,Fever Treeと味の違いが明言しづらい…。
二つを比べればなんとなく分かるんですけど。

・Fever Tree
初めて飲みました。クセが強く,「こ,これが本物か…!」ってなりました。


「君は好き嫌いが多くて一緒にご飯を食べてもつまらんなぁ」
「カロリーメイト食べてる人は信じられない」
「君は味がわからないからな」
とボスに散々言われた私のどうでもいいレビューはおいておいて,
結果をちゃっと示しましょう。













光るトニックウォーター


おお!光るものと光らないものがある!



少々見づらいので凡例を示しますと,
左から,ネガティブコントロールとして「水道水」,あとは,
「ドンキホーテ」,「カナダドライ」,「サントリー」,「シュウェップス」,そして「Fever Tree」です。

明らかに「カナダドライ」,「シュウェップス」,「Fever Tree」は光っていますね。
一方で「ドンキホーテ」と「サントリー」は光っていません。
Fever Treeはキナ抽出物が由来なんでしょうけど,「カナダドライ」と「シュウェップス」は何が入っているんでしょう?

…ていうかこれ調べて何の意味があるんですかね?
とりあえず,
「カナダドライとシュウェップスとFever Treeはブラックライトで光るよ!!でもサントリーのは光らないんだ!ふっしぎー!」
って気になる女の子にドヤ顔してください。間違いなく引かれますけど

P.S.
この作業をしている最中,同じ研究グループの准教授に見つかり事情を説明したところ,
「LCMSで分析する?」って言われました。
いや,あなたがいいならいいんだけどさ…
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ABAを擁護しようと思う

研究関連
03 /07 2017
今日は,先週に粗くだけ精製しといたクルードを,精製しに学校に来ました。
ただ,TLCを見てみるに…こりゃぁ,精製できんなということで,精製は断念,廃棄しました。
というわけで,暇つぶしに論文読んだりしとりました。

…もう論文読むこと(読む環境)も無いんだな…と少し悲しくなります。

さて,未読の論文も消化して,久々に記事になるネタねーべかと,探していると,
そういえば昔,「アブシジン酸(ABA)が人体に有毒!」というネタがあったのを思い出したので,
今回はそのお話。


一度「アブシジン酸」を調べていただければ分かるかと思いますが,
筆者のブラウザ(Google chrome),検索エンジン(Google)環境では上から順に,


「アブシジン酸-wikipedia」

現代病の根幹を成す、“アブシジン酸”の恐怖 - 糖尿病治療

「玄米のアブシジン酸とは?フィチン酸とは?危険なの?」

「アブシジン酸応答機構 の解析 | 環境応答機構研究グループ」

健康に良いはずの玄米食の落とし穴:日経ウーマンオンライン

「アブシシン酸とは - コトバンク」

「発芽毒」玄米や種物(チアシード)などを食べる時の注意点!

「アブシジン酸の働き、そして毒性はあるのか? - saitodev.co」

玄米の毒(アブシジン酸)を無毒化する方法

「植物ホルモン」




と,ABA「俺が一体何をしたって言うんだ!!」といったラインナップです。
他の植物ホルモン(オーキシン,エチレン,ジベレリン,etc...)で調べてみると,
結果は学術的なものが多いのに対して,この仕打ちです。

渦中のABAが何故こんなトンデモなことになっているかといいますと,
玄米に含まれるABAが,「ミトコンドリアに対して毒性がある!」ということらしいです。

いろいろなサイトを見ていると,上記のことを言い始めたと思われるのは,
医学博士のN氏だそうです。

ただ,氏の発言を記した一次ソースを探し出すことが出来なかったので,
何故,上記の主張をなされたかは想像するしかありません。
どうも,主張の根拠には2007年にPNASに報告された論文の様です。
それが,これ
「Bruzzone S, Moreschi I, Usai C, Guida L, Damonte G, Salis A, Scarfi S, Millo E, Flora AD, Zocchi E: Abscisic acid is an endogenous cytoline in human granulocytes with cyclic ADP-ribose as second messenger: Proc Natl Acad Sci USA 2007, 104, 5759-5764.」

いろいろなサイトがこの論文を根拠に
「アブシジン酸が活性酸素を増大させミトコンドリアを傷つける」→「ミトコンドリア毒だ!」
という理論を展開しているみたいです。

まず,大前提として論文の筆者らは,「論文中でミトコンドリア毒」などという意味不明な単語は使用していません。
上記の論文のタイトルをコピペして,出てきた論文のAbstractを読めば大体内容は分かるかと思います。
(Abstractだけなら読めるよね・・・・?)

かいつまんでAbstractを訳すと

・ABAは高等植物における基本的な生理的応答(ストレスや種子休眠,気孔閉鎖等)に関与する植物ホルモンである。

・我々は,ABAが,Gタンパク質/受容体を起点としたシグナル伝達経路を介してカルシウムイオンの増加を引き起こすことにより,ヒト顆粒球のいくつかの活性(食作用,活性酸素種および一酸化窒素の産生)を誘引することを示した。

・この発見は,植物からヒトへのホルモンおよびシグナル伝達経路が保存されていることを示す興味深い一例であり,顆粒球活性化の分子メカニズムについての知見を提供し,新しい抗炎症薬の開発につながる。


といった感じです。
おそらくですが,カルシウムイオンの増加による活性酸素種の産生という点から,
上記のミトコンドリア毒という説が出てきたものと考えられます。
確かに,活性酸素種はその反応性ゆえ種々の器官にダメージを与えます。

ただ,ほとんどの試験で効果が確認された濃度が20 μMと非常に高濃度であることから,
この効果が,玄米に含まれている程度のABAで引き起こされるか甚だ疑問です。
実際に,茶碗一杯に含まれるABA量を計算してみましょう。

玄米を炊飯したとして茶碗一杯に200 gとします。
品種にもよりますがイネにおけるABA内生量は80 ng/g F.W.であるので
茶碗一杯のABA内生量は16 μgとなります。
ABAの分子量は264.3なので,茶碗中に含まれるABAは約60 nmolとなります。
人間の血液が成人男性60 kgで4.5 Lだとすると,体内のABA濃度は15 nMとなります。

※内生量のF.W.と炊飯した玄米量を結びつけるのは無理があるかなぁ…

かなり荒っぽく計算しても,摂取するABAはかなり低濃度であることが分かります。
また,ABAが蓄積されるといった知見もまだありませんし,
ABAはカルボキシ基を持つため水溶性が高く,体外に容易に排出されると予想されます。
そのため,体内で濃縮という可能性もかなり低いと考えられます。

以上の簡単な計算から分かるように,
「摂取したABAが活性酸素種を増加させ,ミトコンドリアを傷つける」といった可能性はかなり無理があるかと思います。
そもそも,ABAが活性酸素種を増加させるからミトコンドリア毒であるという仮説は,論理が何段階も飛躍しており,
まともな教育を受けた研究者ならかなり無理があると気づくかと思います。

まだまだ,この説については突っ込みどころがあるんですけども,今日はここまでにしておきます。



文字ばかりでなかなか見辛いな…。レイアウトに頭を使おうという反省でした。

キンカンのフタのはずし方 サリチル酸の抽出

研究関連
02 /03 2017
1/31に修士論文を提出し,現在,来る最終発表に備えてスライドを作っております。
ストーリーの構想はできたのですが,いざ,スライド作成となるとなかなか手をつけられません。

さて,修論もそこそこに引越しの作業をしなくてはなりません。
現在,絶賛引越し準備中なのですが,物の量が多い多い。
一体これほどのものが,どこに閉まってあったのやら…。

それで,昨日は薬箱チックなところの片づけをしていたのですが,
そこには2013年が使用期限のキンカンさんがこんにちは

調味料もそうなんですけど,我が家のものはとことん賞味期限が切れています。
…何で買ったのか。

内容物をふと見てみると

(100mL中)
アンモニア水:21.30mL
l-メントール:1.97g
d-カンフル:2.41g
サリチル酸:0.57g
トウガラシチンキ:0.35mL(原生薬量として35mg)
添加物として朝鮮人参抽出液、溶剤としてアルコール含有。

などなど素敵な成分が目白押し。
特に,サリチル酸は実験でもちょろっと使った上,自身の文献発表テーマであったため愛着があります。





ということで何を思ったのか学校に持ってきて抽出してしまいました。

ここで,キンカンの処分方法についてレクチャーしたいと思います。

まず,キンカンの塗る部分のスポンジをはさみで切り取ります。
フタその1

次に,はさみを出てきた穴につっこんで…
フタその2

てこの原理で…
フタその3

ね?簡単でしょ?


はてさて,これで中身を取り出すことが可能となりました。

中身を少量10 mL容バイアル瓶に加え,1M HClを酸性になるまで加えました。
※サリチル酸は,カルボキシ基を持ち,塩基性条件下では有機層に来ないため。
 酸を用いてプロトネーションしてあげる必要アリ

アンモニア水に溶けているので,なかなか酸性になりません。

酸性になったことをpH試験紙で確認した後,
酢酸エチルを水層と同程度加え分配抽出しました。
有機層をTLCプレート(merck TLC aluminium sheet Silica gel 60 F254.にスポットし,
標品であるサリチル酸とともに展開(ヘキサン:酢酸エチル=6:4)しました。

その結果がこちら!!!




TLC分析



…ごめんなさい。濃度が薄くてUV吸収を確認することが出来なかったので,微妙な感じになってしまいました。
説明しますと,2レーンあるうちの左側が標品であるサリチル酸,
右側が今回キンカンから液-液抽出したもの(未知試料)になります。

今回使用したTLCプレートは,より極性が高いものが下側に,極性の低いものが上側にきます。
(詳しくはTLCの原理で検索DA!)
今回,キンカンにサリチル酸が含まれているのかを確認しているので,
あらかじめサリチル酸と分かっているもの(標品といいます)と一緒にTLCを展開し,
未知試料のレーンにも同じ位置にスポットが表れれば,それがサリチル酸であることが同定できます。

検出方法もいろいろありまして,UVを吸収できる化合物ならば,
今回のTLCプレートはUVを照射することで検出することが可能です。
サリチル酸は,芳香環を持っているのでUVを吸収します。
本当はUV吸収の写真を撮りたかったのですが,吸収が弱かったので断念しました。
(UV吸収した部分を鉛筆で「( )」でくくっています。)


そこで,呈色試薬(パラアニスアルデヒド,heat)を使って検出してやろうかと思ったのですが,
サリチル酸は呈色せず,上側(低極性側)に謎の青いスポットが

…何だこれ?

成分を再度確認してみますと,メントールとカンフルが入っています。
(トウガラシチンキの成分ではないよな…?)
構造を確認してみますと,どちらもサリチル酸より低極性なので,どちらかかと思います。
構造
(ちなみに構造。左からサリチル酸,カンフル,L-メントール。画質粗っ!)

ただ,TLCプレートの上側なので,分離しておらず,両成分が重なっている可能性はあります。
低極性の組成で展開してやれば,明らかになることでしょう。
この段階で飽きたのでやめました。

というわけで,サリチル酸がしっかりと抽出することができました♪



…スライド作らなきゃ

SF5

大学院生時代は化学の力で植物を研究していました。会社では油と戯れる予定です。

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